マーケティング担当者にとって、広告出稿ボリュームを決定する際に考慮しなければならない外的要素が数多くあります。19などの社会全体の変化や、自動車業界などにおける半導体不足のような特定の業界における変化、また市場ごとの競合企業の動向、さまざまな要素を把握した上で、自社の目標を達成するために必要な出稿量を決定することになります。

実際には、例えばオーストラリア市場における広告費のトレンドを見て、大手グローバル自動車ブランドの広告費はオーストラリア市場全体（他のカテゴリも含む）の4-。6月期以降は増加傾向にあります。しかし、日系の自動車ブランドの広告費のトレンドは、グローバルブランドのように市場全体と同じトレンドを描く、コロナ以前の水準には届いていないことがわかります。ブランド・エクイティが低下すると、特に他社と比べて広告費が低い場合は、将来の売上減少につながる可能性があります。商品の供給不足の際にコンバージョン目的の戦術を実行すると、コンバージョンした顧客への対応が滞る場合などにブランドに対する信頼を失う危険性がありますが、ブランド認知などのアッパーネルの活動に注力するという、ブランドにとってのロイヤルカスタマーの維持とリード顧客層を拡大することができます（図表 1）.

タイ市場においては、日系の食品、飲料ブランドはタイ市場全体と似たトレンドで一時的に減少したものの、2021年にはコロナ前の水準に戻ってきています。

そして、競合他社の出稿量と比較しながら、自社の広告費を増やすべきかどうか判断する必要があります。

私たちの生活環境は日々大きく変化していますが、自国における変化を追うことすら難しい状況下、海外進出企業の担当者は遠い世界の消費者、業界の変化を追っていく必要があります。