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キャンペーン期間中の最適化が広告配信の改善の鍵となる

4分で読めるシリーズ|デジタルシニアアナリスト 宗像直樹|2022年8月号

デジタル広告業界においては、サードパーティークが利用できなくなりつつあり、広告を狙ったターゲットに届けること、引き続き大きな課題となっています。

クッキーレス配信の活用に加え、広告と正しいオーディエンスのマッチングを確認するために、広告パフォーマンスを正確に測定できることがこれまで以上に重要となっています。Nielsenは最近、15ブランドの82のデジタル広告キャンペーンの分析を行い、正しい広告を正しいオーディエンスに配信することでROIが向上することを検証し、オーディエンスの測定基準がキャンペーンパフォーマンスの初期指標になることを確認しました。

クッキーレスの影響を受けるターゲティング精度が低下している可能性を懸念するマーケティング担当者にとって、キャンペーン期間中の最適化は、キャンペーンのパフォーマンスを向上させ、ROIを改善させるために不可欠なものとなりますが、最適化の正確なキャンペーンの計測から始まります。

近年、コネクテッドTVからの視聴が増加し、CPCV(Cost Per Completed View)は、広告主にとって重要な動画KPIになりつつあります。この新しい指標は、通常別々に測定されるオンターゲット率1とCPCVを組み合わせることで、キャンペーンの測定に複雑さを加える一方で、キャンペーンを改善するための新たな機会を提供します。オンターゲットCPCV2を計算し、最適化することで、マーケティング担当者は両方の指標を改善することができます。

例として、男性20歳以上34歳をターゲットとし、8週間に渡り3つの媒体にデジタル広告を出稿するキャンペーンについて考えてみましょう。今回の例において、CPCVだけを見て最適化図ると、媒体1予算に再配分することになりますが、オンターゲット率も併せて考慮すると、多くのターゲットに完全視聴してもらう機会を逃すことになります。

今回の例において、CPCVだけを見て最適化を図ると、媒体1に予算を再配分することになりますが、オンターゲット率も併せて考慮しないと、より多くのターゲットに完全視聴してもらう機会を逃すことになります。

キャンペーンを最適化する方法を把握することは最初のステップに過ぎません。媒体によってはキャンペーン開始後に媒体費用の再配分ができないケースがあるため、実際にキャンペーン期間中に再配分することが難しい場合もあるかと思います。開始後に媒体費用が変更できない媒体を含むケースでも、変更が可能な媒体のうちパフォーマンスの高い媒体に再配分したり、1つの媒体内で複数の設定で出稿しているケースであれば、その配信設定間で再配分したりすることが可能です。

マーケティング担当者は媒体費用の再配分だけでなく、配信条件を変更することでも、費用を最大限に活用できるケースがあります。例えば、サードパーティークッキーが活用できなくなりつつある中で、キャンペーンによってはオンターゲット率が低くなることもあるでしょう。そのような場合、キャンペーン期間中にターゲティングに用いるデータソースをより精度が高くクッキーレスの影響が小さいものに変更することで、ターゲティングの精度を高め、狙っているターゲットにより多くリーチすることもできます。

マーケティング予算を最大限に活用し、より多くのターゲットにリーチし、より高いROIを実現するために、マーケティング担当者は日々工夫しながらデータを活用していくことが重要です。キャンペーンの最適化は新しい手法ではありませんが、クッキーレス時代のマーケティング担当者にとっては、業界の変化や競合に打ち勝つために、環境の変化に対応できる計測方法や指標を用いてキャンペーンのパフォーマンスを上げていく必要があります。 

備考

[1] オンターゲット率 = 全インプレッションのうちターゲットの性年代に到達していたインプレッションの割合
[2] オンターゲット完全視聴獲得単価(オンターゲットCPCV) = 媒体費用 / (動画視聴完了数×オンターゲット率)
例:媒体費用が100万円、1万ターゲット視聴完了の際は100万円 / 1万再生数 = 100円

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