ニールセン発表 スマートフォンのアプリ利用状況が明らかにする最新トレンド
ここ数年スマートフォン利用が加速する中で、アプリは「目新しいもの」から「生活に欠かせないもの」になってきました。日々新しいアプリがリリースされ、日常の様々な場面で活用できるものが数多く存在します。しかし、消費者が一日に各アプリに費やせる時間には限りがあるので、アプリのマーケティング担当者や開発者は新しい機能を追加するだけではなく、競争が激化する市場で差別化に力を入れることが求められてきています。
日本においては、スマートフォン利用時間のうち92%はアプリが占めていることが分かりました(図表1)。昨年と比較するとアプリが占める割合は8ポイント増加し、アプリの利用はスマートフォン利用時間増加だけでなく全体のメディア視聴にも大きく貢献していることから、アプリのマーケティング担当者やアプリ開発者にとっては大きなビジネスチャンスをもたらしていることが分かります。
若年層を中心にアプリの利用が拡大
アプリの利用時間増加とともに、1ヶ月に利用されるアプリの数の増加も見られました。18歳以上においては1ヶ月に1回以上利用される数は平均34.6となり、昨年から約4個増えていることが分かりました。増加数が最も多かったのは18-34歳で、昨年から4.5個増加している結果となっていました。
しかし、月間利用されるアプリの数は増えても、毎日利用されるアプリが増えるとは限りません。18歳以上が毎日(月間31回以上)利用するアプリの数は8.8個、昨年と比べると0.8個の増加にとどまりました。消費者はアプリの選択肢が増えている中でも、日常的に利用するアプリは使い慣れているものにとどまる傾向にあることが分かります(図表2)。
利用されるアプリの数が最も増加したカテゴリーとは?
数年前までは1カテゴリーにつき1アプリが利用されることが多く、各カテゴリーで利用されるアプリが固定化されている傾向にあったことから、月に利用されるアプリの数には変動が見られませんでした。しかし、選択肢が増えることで、その傾向が徐々に変わりつつあります。図表3は昨年からアプリの増加数が最も多かった若年層において、月間に利用されるアプリの個数が増加したカテゴリー上位5つを示しています。エンターテイメントカテゴリーでの増加が最も多く、TikTokの利用拡大や様々な動画配信サービス、漫画やゲームアプリの利用者の増加が影響していることが分かります。Eコマースやファイナンスカテゴリーにおいては、新しいフリマアプリや各ペイメントアプリが大きく利用者数を伸ばしています。このようなアプリは同じカテゴリーの中で利用時間を奪い合う代わりに、ニッチを見つけ出し、消費者が同じカテゴリー内でも複数の新たなサービスカテゴリーを利用する環境を生み出すことで利用者数の拡大を可能にしているのではないでしょうか。今後各アプリのマーケティング担当者や開発者はエンゲージメントを高め、利用頻度を高めることが重要な課題になります。
ニールセン デジタル株式会社代表取締役社長 宮本 淳は、次のように述べています。「アプリの利用時間や利用される数の増加は、各アプリのマーケティング担当者や開発者に絶好のビジネスチャンスをもたらします。このような環境の中で成功の鍵となるのは、どれだけ消費者に寄り添うアプリとなり毎日利用してもらえるか、ということではないでしょうか。消費者が日常的に利用するアプリは、普段使い慣れているものを選択する傾向にあります。豊富にあるオプションの中から自社のサービスを選択してもらうためにも、アプリのマーケティング担当者や開発者は、共感できるコンテンツの提供やアプリのUI・UXの向上、または新しいニッチを見つけ出しサービス展開するなど、高品質なユーザー体験を提供することが一層重要になるのではないでしょうか」。
ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView)について
ニールセン モバイル ネットビューは日本全国の8,000名(iOS、Android各4,000名)の調査協力モニターから取得するアクセスログ情報を元に作成されます。従来のアンケート調査とは異なり、実際のユーザーのアクセス記録に基づくデータであり、アプリやウェブサイトの利用時間や利用頻度などの正確な利用動向データの提供が可能です。また、利用者属性情報を含むパネル調査であるため、属性別の利用状況を把握できます。データは、ウェブサイトの訪問、アプリの利用もしくはスマートフォン全体での利用状況を参照することができ、また、利用者属性、OS、電話会社、デバイスなどのフィルターを使用してデータを抽出することもできます。詳しくは下記「お問い合わせ」フォームよりお問い合わせください。