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COVID-19の影響により、日本の消費者のメディア消費、特にインターネット利用時間が変化しています。さらにインターネットで利用するサービスにも影響を与えています。これまでより自宅で長い時間を過ごしている消費者は、自宅で食事をする頻度が増加し、インターネットで料理レシピサービスを利用する時間も増加しています。
ニールセンが3月に実施した調査結果によると、日本を含むアジア圏において、食習慣では外出を控えることにより自宅で食事をする頻度が増え、テイクアウトとデリバリーサービスの需要が高まっていることが明らかになっています。日本の緊急事態宣言は5月下旬に解除されましたが、これらの習慣は今後も継続するでしょう。
自宅で食事をする頻度の増加により、料理レシピサービスの需要が高まっています。これまで料理をしなかった人が豊富な在宅時間を機会に料理を始めたり、これまで料理していた人においても、家庭内での食事頻度の増加に対応するために新しいレシピを必要としたり、感染症への免疫力アップを考慮した栄養バランスの良いレシピを探すため、サービスを利用したりする人が増えていると推測されます。
日本において、緊急事態宣言が発出されていた4月上旬から5月下旬の期間では、料理レシピサービスを利用する消費者が実際に増えていました。PCとモバイルの重複を除いたトータルデジタルの利用者数は、3月と比較して4月では6%、5月では20%増加していました。さらに、利用者数の推移を性年齢のグループごとに比較すると、女性50歳以上では3月と比較して5月では31%増え、また男性全体では19%増加していました(図表1)。これまであまり料理レシピサービスを利用していなかった属性グループが、環境の変化により利用を開始したと考えられます。このように大きな環境の変化は、ウェブサービスの利用に新しい習慣を生み出しています。
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また動画レシピサービスは、すべての属性グループで長時間利用され、特に女性の若年層において長時間利用が顕著です。一方でその他レシピサービスは、高頻度で利用されていました(図表2)。COVID-19の影響が長期化することにより、消費者とのコミュニケーションに難しい課題を抱えている現在、マーケティング担当者にとっては利用者数の増加した料理レシピサービスを新しい広告メディアとして活用し、消費者にリーチできるチャンスが生じていると捉えることができます。
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都市圏で再び感染者数が大幅に増加するなど、COVID-19の第二波と見られる現状を考慮すると、今後少なくとも数ヶ月は自宅で食事をする頻度の高さは継続し、料理レシピサービスの需要が維持される可能性があるでしょう。マーケティング担当者は、このような利用者数の増加したサービスを上手に利用して、消費者とつながり続けることが重要です。また、同じレシピサービスであっても、サービスの種類によって利用時間、利用回数に特徴があるため、出稿先の選定にあたっては、サービスごとの特徴を踏まえた上で、広告の目的・種類に応じてメディアプランを立案することが重要です。