アメリカの消費者が今日ほど多くのビデオコンテンツを選べた時期はいまだかつてない。しかしながら、毎日オンラインで追加される無数の選択肢があっても、メディア業界においてローカルテレビのように消費者を巻き込む力を持つ媒体は、ほかにほとんどない。
メディア視聴や消費者習慣が変化し続ける中、各地域の市場の独自性はテレビの視聴方法を決める主要なファクターとして群を抜いている。最新のNielsen Local watch Reportによると、ゴールデンタイムでは依然として生放送の視聴が最も一般的だが、タイムシフト視聴やビデオ・オン・デマンド(視聴者の要求に応じて番組を視聴することを可能にするサービス)コンテンツの視聴も認知度の向上とコンテンツの拡充に伴い人気を高めている。
ニールセンが調査対象とするローカルピープルメーター(以下LPM。ピープルメーターとはニールセンがテレビ視聴率を測定する際に使う機器のこと)上位25市場において、ゴールデンタイム視聴率の三分の一以上(34%)が放映後7日間以内のタイムシフト視聴によるもので、このほか10パーセントはビデオ・オン・デマンドコンテンツによるものである。
個々のマーケット・プロフィールを精査していくと、消費者の視聴習慣を形づくるものとして、各地域の独自性が大きく関与していることがよくわかる。ゴールデンタイムの生放送視聴が最も一般的なのはピッツバーグで、全テレビ視聴率の70パーセントが生放送を視聴している消費者によって生み出されたものだ。これとは対照的に、ダラスではゴールデンタイムの視聴率のうちテレビの生放送によるものは半数未満(44%)に過ぎず、47パーセントはタイムシフト視聴によるものである。実際、ダラスは放映後7日間以内のタイムシフト視聴の主要マーケットであり、ロサンゼルス(45%)、ヒューストン(44%)そしてフェニックス(42%)がこれに続いている。対極に位置するのはピッツバーグ(19%)、フィラデルフィア(22%)とミネアポリス(25%)で、タイムシフト視聴がゴールデンタイムの視聴率に占める割合は格段に低くなっている。
ビデオ・オン・デマンドも視聴方法としてますます人気を高めており、シアトル(14%)、ボストン(14%)、デンバー(13%)やポートランド(13%)といった地域の視聴者はLPM上位25市場の平均的な消費者に比べビデオ・オン・デマンドをより多く利用して、ゴールデンタイムの番組を視聴する傾向にある。
ストリーミングも含めた更なる視聴機会の創出、という点ではテクノロジーもビデオの視聴方法に影響を与えている。スマートテレビはインターネット上で配信されるコンテンツを利用者のデバイスに直接提供するもので、スマートフォン(LPMマーケットにおける普及率72%)のように主流になったりタブレット(LPMマーケットにおける普及率41%)のように臨界点に近づいたりするのはまだまだ先だが、利用は伸びている。現在、上位25市場全世帯のうち12パーセントがスマートテレビを所有している。