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観戦か、結果のみか?オリンピック・パラリンピックコンテンツが視聴される方法とは

0 minute read | ニールセン デジタル シニアアナリスト コヴァリョヴァ・ソフィヤ | July 2021

オリンピック・パラリンピックは世界中の観客を魅了し、様々な国から集まるアスリートの姿が報道され注目が集まります。今年は、新型コロナウイルスの影響が長期化し、今でも世界中の多くの人々の生活に影響を及ぼしていることから、オリンピック・パラリンピックの開催形態は過去の大会とは大きく異なるものとなるでしょう。開催地の東京では4度目の緊急事態宣言が発令され、開催直前に一部を除き無観客での実施が決定されました。また、感染拡大の懸念からパブリックビューイングも多くの場所で中止が決定され、観戦スタイルも大きく変化することが想定されます。

直近まで実施の可否や開催方法が不透明な上、多くのメディアでは新型コロナウイルス関連のニュースが大半を占め、オリンピック・パラリンピックに向けた話題が少なかったこともあり、観戦に対する関心が低下しており、その結果、テレビ等での観戦はせずに、結果だけ確認しようとする人が増えているようです。実際に、インターネット利用者のうち17%はオリンピック・パラリンピックを観戦せずにニュースで結果だけ確認したいと回答しており、2020年2月から5ポイント増加していました。(図表1)

オリンピック・パラリンピック関連コンテンツを提供する企業としては、開催期間中に視聴者とのエンゲージメントを高めるためにも、この意識の変化を把握し、どのようなコンテンツが必要とされているかを理解することが重要になります。ニュース記事や結果を確認し、それをきっかけに関心が高まり観戦を始める人もいることでしょう。視聴者がどのようなコンテンツをどこで視聴しようと考えているのかを把握した上で、自社メディアに取り入れることで大会期間中のエンゲージメントを高めることが期待できます。そしてそのためには、オリンピック・パラリンピックに対しての関心が高い人だけでなく、関心の低い人も含めた視聴者全体の意識の変化を考慮することが重要となります。

オリンピック・パラリンピック低関心層でもニュースの結果は確認する

スポーツの試合が無観客で実施された場合でも、過去に実施された調査結果からは多くのファンは観戦し続けるであろうと推測されます。そのため、オリンピック・パラリンピックファンにおいても、開催方法が無観客に変わっても大会そのものに対する意識は変わらず、もともと関心の高い人は観戦し続けることが期待されます。では、オリンピック・パラリンピックに対しての関心がそれほど高くない人ではどうでしょう?試合に対しての関心が「どちらともいえない」「あまり/まったく興味がない」と回答した人のうち、22%は観戦はせずにニュースの結果を確認する予定であると回答していました。オリンピック・パラリンピックに対しての感心が高くない人でも、友人や知人との会話についていくためや、単に情報収集のためなど、ニュースで結果だけは確認する予定であることがわかります。

Chart1

求めるコンテンツは年代によって異なる

では、ニュースで結果を確認する際に、どのようなコンテンツが求められているのでしょうか。求められるコンテンツは年代によって大きく異なります。若年層は迅速な結果を求める傾向がある一方で、上の年代ではより詳細な情報を好む傾向にあります。実際に、観戦はせずにニュースで結果を確認する予定である人が求める情報として、15-34歳では「日本のメダル獲得状況」が最も高く55%となっていました。一方、35歳以上では、「見どころのシーン、ハイライト」が高く、35-49歳では58%、50歳以上では59%となっていました(図表2)。このようにコンテンツのニーズが年代によって異なっているため、各メディアに費やす時間や視聴するメディアも年代によって異なってくることが想定されます。

ニュースで結果を確認する予定の人がどのメディアを使用するのかを見ると、各年代ともテレビの利用が最も高く、15-34歳では64%、35歳以上では約80%となっていました。しかし、求めるコンテンツによっては他のメディアが選択され、中でもデジタルメディアはどの年代においても重要な役割を持っています。デジタルネイティブである15-34歳に注目すると、若年層は自身が必要とする情報を自ら探しに行く傾向にあることから、検索・ポータルサイト/アプリとSNSの利用が最も高い結果となり、それぞれ51%と37%でした。一方で、35歳以上では、情報がまとまって提供されるニュースサイト/アプリなど従来のニュース提供形態に近いニュースメディアの利用が多くなっていました。ニュースサイト/アプリは35-49歳で49%、50歳以上で36%と2番目に高く、50歳以上で新聞は34%で3位となっていました(図表3)。各年代が求める情報と使用するメディアのニーズは異なるため、コンテンツを提供する企業は、ニーズの違いを理解し、これらをどのように活用することでエンゲージメントが高められるかを検討した上でコンテンツを提供していくことが重要です。

Chart2
Chart3

東京オリンピック・パラリンピックの観戦スタイルやメディア利用は今までの大会と比べると間違いなく異なるものとなるでしょう。コンテンツを提供する企業としては、提供しているコンテンツが視聴者のニーズの変化と一致しているかを再確認することが重要になります。コンテンツに対するニーズは年代によって異なることから、自社がターゲットとしている年代にマッチしたコンテンツを提供することでエンゲージメントを高めることが期待できます。一部の視聴者は、リアルタイムやタイムシフトで大会を観戦するのではなく、結果を確認する視聴スタイルにシフトしています。このような視聴者において、ニュースコンテンツをきっかけに大会への関心が高まり、観戦し始める可能性もあります。新型コロナウイルスの影響で、過去の大会とは異なるムードでの開催となりますが、大会を盛り上げて行くためには試合結果などの報道が重要な役割を担うことになるのは変わりないでしょう。そして、オリンピック・パラリンピックファンのエンゲージメントを高めるだけでなく、視聴者全体のニーズを考慮し、コンテンツを提供することが今まで以上に重要になるでしょう。

詳細は「スポーツコンテンツの視聴行動と意識に関する調査結果(Vol.4)」に掲載されています。本調査レポートに関するお問い合わせは ニールセンデジタル株式会社 セールス&アナリティクス宛  jpw_ClientServices@nielsen.com まで

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