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新商品に関する情報源の変化~低下するテレビ広告の影響力、増加するネット検索経由の新商品認知

0 minute read | August 2015

新商品の発売にあたり、消費者が求めている商品を開発し、適正な価格を設定し、店舗の配荷率を高めることは、成功を収めるための重要な要素です。そして、その商品を効果的な方法で消費者に知ってもらうことも重要になります。では、消費者は、どのように新商品の存在を知るのでしょうか?

■新商品の認知を高める上で重要なのは「インターネット検索」と「店頭」

今回の調査では、新商品情報の入手経路として、「インターネット検索」を選んだ人は68%で最も多くなっていました。次いで、「店頭で実物を見て」という人が67%となっていました。東南アジア地区で最も重要な役割をはたしていた「テレビ広告」を選んだ人は日本では50%で、3番目によく利用される情報源となっていました(図表1)。日本においては、検索した際に見つかりやすいことや、多くの店舗で陳列されていることが非常に重要であるといえます。

図表1: 日本における新商品に関する情報源 TOP3

図表1: 日本における新商品に関する情報源 TOP3

Source:
Nielsen Global New Product Innovation Survey, Q1 2015
※数値は、新商品情報の入手経路として上位5つまでに選択した人の割合を合計した値

■テレビ広告の影響力は低下

次に、新商品情報を入手する情報源をトリプルメディア(Earned、Paid、Owned)に分類し、2012年の調査結果と比較したものが図表2です。大きな変化として、2つの特徴が見られました。

まず、Paidメディアの中で最も大きな影響力のある「テレビ広告」(50%)が、2012年から9ポイント減少していた点です。「テレビ広告」の影響力の低下は、様々なデバイスやコンテンツが登場したことにより、テレビの視聴時間が減少したことや、他メディアでの情報接触量が増大したことが影響していると考えられます。こうした変化は、グローバル全体でもみられました。企業にとって、テレビ広告はPaidメディアの中で最もリーチが取れるメディアですが、今後は、様々なメディアを組み合わせて消費者とコンタクトをとっていく必要があるといえます。2012年から変化のあったその他のPaidメディアは「投稿動画サイト」で、新商品に関する情報を取得するという人の割合が3ポイント増加し、9%となっていました。近年、動画広告を活用する企業も増加してきていますが、新商品を認知させる上で、動画サイトは今後も重要な役割を担っていくと考えられます。

もう1つの大きな変化は、「インターネット検索」で新商品に関する情報を取得している人の割合が11ポイント増加し、全情報源の中で最も増加していたことです。2012年からの3年間は、スマートフォン利用者が急速に増加した期間で、消費者がスマートフォンで新商品を認知する機会が大きく増加したことも理由の1つと考えられます。新商品を自社サイトで認知してもらうには、SEO対策やSEMの運用は今後も有効な手段となるでしょう。また、自社サイト以外のメディアとしては、商品カテゴリ名で検索した際によく利用される比較サイトなどを活用することも有効でしょう。

図表2: 日本における新商品に関する情報源 2012年vs. 2015年

図表2: 日本における新商品に関する情報源 2012年vs. 2015年

Source:
Nielsen Global New Product Innovation Survey, Q1 2015
Nielsen Global Survey of New Product Purchase Sentiment, Q3 2012
※それぞれのトリプルメディアから、選択した人の割合が高かった上位5つの情報源を掲載

■購買履歴や広告接触データを蓄積し、各メディアの効果最大化を図ることが重要

今回の結果は、製品カテゴリやターゲット属性によって傾向が異なると考えられます。しかし、新商品に関する情報源にかかわらず、私たちの情報取得環境が、様々なデバイスやメディア、広告形態に分散化していく流れは、今後も進むことが予想されます。そのため、多くの企業にとって、テレビ広告やオンライン上の様々な広告を組み合わせて、ターゲットリーチの最大化を図っていくことがますます必要になってきます。

このような変化の中で、様々なメディアを組み合わせたプロモーションを成功させるには、ターゲットが新商品を認知するメディアをプロモーション計画前に正確に把握することが重要です。また、プロモーションで活用した複数のメディアのうち、どのメディアの効果が高かったのかを把握し、改善を図っていくことも重要です。個々のユーザーの購買情報とプロモーション接触情報をビッグデータとして蓄積し、売り上げに効果のあるプロモーション活動をアトリビューション分析により把握することで、PDCAサイクルを回している企業も出てきています。もちろん、クリエイティブやコピーの良し悪しは効果に大きく影響してきますが、データを蓄積し、正しく活用できた企業は成功の確率が高まるでしょう。

(ニールセン シニアアナリスト 高木 史朗)

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