マーケティング予算には常に厳しい目が向けられがちですが、パンデミックの発生から約2年が経過したことで、効果・効率の高い予算消化に更に注目が集まっています。多くのブランドが新たなプラットフォームやメディアチャネルを介したマーケティングを強化していることもあり、正確かつ包括的な測定の重要性が高まっています。
新たなプラットフォームやチャネルの利用に加え、企業のマーケティング担当者は(2020年1-6月上期に予算を削減した後)、マスリーチ獲得チャネルに配分する予算を大幅に増加させました。これは、ニールセンが発行した 2021 Annual Marketing Reportで調査したマーケティング担当者が、顧客獲得とブランド認知を最優先課題として挙げたことと一致しています。例えば、小売業界では、昨年10月からブランドが広告費を大幅に増やし始めました。
支出の増加に伴い、ROI (投資対効果)追跡への注目も高まっています。近代的なマーテックソリューションで測定可能な、コンバージョン指向のデジタルマーケティング施策とは異なり、マーケティング担当者にとっての課題は、マスリーチ獲得と長期的な売上との関連付けです。ニールセンの経験によると、認知や検討などのブランド指標の1ポイント増加は、平均して売上の1%増につながります。しかし、Annual Marketing Reportを作成する上で調査したマーケティング担当者は、既存のマーケティングテクノロジーを信頼していない傾向にあります。予算規模が大、中、小のブランドを見渡しても、既存のマーテックに対する平均信頼スコアは僅か16.7%でした。今日のマーテックソリューションは新たなプラットフォーム、デバイスやチャネルの出現に加え、プライバシー保護の強化、サードパーティ識別子の利用廃止の問題など、マーケティング担当者を取り巻く複雑な環境を考慮しなければならないことが伺えます。
ニールセンは複雑化する現在のメディア環境において、ブランドは以下の 3つの柱に注力するべきである考えています。
- 信頼性: 独立したサードパーティ(メディアの売り手であってはならない)が提供し、広告主が資金提供することで透明性が担保される測定が極めて重要となります。
- 比較可能性: ブランドは一貫した手法を用いて正確にプラットフォームやデバイスを横断するチャネルを比較して、相対的なパフォーマンスを把握する必要があります。
- 適応性: メディア予算の内、最大の予算が配分されるチャネルについて、ブランドは実行レベルで起こったことを測定するのではなく、達成可能なことを測定する必要があります。これは、単にマーケティング戦略が十分に機能していることを確認するのではなく、ブランドの改善に役立ちます。予算配分が少ないチャネルについては、ブランドはテストアンドラーン(試行錯誤)手法を確立してキャンペーンの成功を拡大し、結果が不十分だった場合は投資を適切に抑えることが有用となります。
測定は、目的に対して相対的なものです。そのため、万能の測定ソリューションはありません。メディアの選択肢が増えるにつれ、マーテックソリューションも増え、明確さよりも混乱を招く可能性があります。マーケティング担当者は、測定機能の領域全体において、認知度、フルファネルROI、マルチタッチアトリビューション(MTA)の測定に最も自信がないと答えています。
上記の3つの柱に加え、マーケティング担当者はウォールドガーデンなど、比較的開放されていないものを含む全てのチャネルに対し、重複が排除された測定を可能にするソリューションを活用して、比較可能な指標を打ち出すことが重要となります。
さらには効果を発揮し、リフトが確認される一部のチャネルを検証するだけではなく、投資の再構成・再配分機能を提供するソリューションを選ぶべきでしょう。例えば Nielsen Total Media Resonance の平均データによると、最も予算配分の大きいチャネルは70%の確率で最大リフトを達成します。しかし、そのチャネルが継続的にリフトを達成する保証はありません。投資を継続するのに最適なチャネルは、わずか4%です。
標準的なソリューションが目標到達プロセスのアッパーファネルとローワーファネルのマーケティング活動を同一のソリューションで説明できないことを考えるとマーケティング担当者がフルファネルROI 測定を信頼していないことは、驚くに値しません。比較可能性と適応性という柱に沿って、マーケティング担当者は目先の売上とブランド認知の両方を必要とする二面性を受け入れるべきです。
マーケティング担当者がこの二面性に対応する方法は 2つあるとニールセンは考えています。1つ目は短期および長期的ROIに対する、MMMを活用した調査を実施すること、そして 2つ目は逐次最適化です。もう1つの最大の課題であるMTAの場合、マーケターは、アトリビューションソリューションが、最初または最後のポイントだけに目を向けるのではなく、カスタマージャーニーの全過程を慎重に検討する必要があります。 また、適応性の原則に基づいて、マーケティング担当者はMTAプラットフォームを継続的に再評価して、データの可用性に関する市場の一般的な傾向に対応できるようにする必要があります。
ほとんどのマーケティング課題同様、測定はより多くのデータを得ることで管理しやすくなります。ここで言うデータとは包括的で比較可能、そしてプライバシー強化やプラットフォームの急激な増加など、業界の進化に適応するデータのことです。
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