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有料インターネット動画サービスにおけるプロダクトプレイスメントで若年層にリーチ拡大

0 minute read | ニールセン デジタル アナリスト マ・ピンチュアン | May 2021

2020年は引き続き、有料インターネット動画サービスにとって好調な一年でした。ソーシャルディスタンスが推奨され、オンラインでのエンターテインメントのニーズが高まっていた中、有料インターネット動画サービスはさらなる成長を見せていました。動画コンテンツと動画広告の利用動向調査「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2021(Nielsen Video Contents & Ads Report 2021)」によると、インターネット利用者における有料動画サービスの利用率は36%となっており、2019年から6ポイント増加していました。

多くの有料インターネット動画サービスは広告無しでサービスを提供しているため、このようなサービスでは広告を通してブランドが消費者とコミュニケーションを取ることはできませんが、一つの方法として、ブランドはプロダクトプレイスメントを活用することで消費者にリーチすることが期待できます。

有料インターネット動画サービスは若年層に愛用されている

近年、有料インターネット動画サービスは利用拡大が進んでおり、特に若年層ではその人気が高まっています。前述のニールセンのレポートによると、34歳以下で現在有料インターネット動画サービスを利用している割合が50%弱、今後も利用したい割合が60%以上となっており、ともに35歳以上における当該割合より高くなっています (図表1)。

Chart #1_20210512

次に有料インターネット動画の視聴時間についても、若年層ほど長時間利用している人の割合が高くなっています。34歳以下で1日1時間以上有料インターネット動画サービスを利用する消費者が25%以上となっており、35歳以上における該当割合を大きく上回っています (図2)。

Chart#2_20210512

ブランドコミュニケーションの場としての有料インターネット動画サービスの効果

当然ながら、人々の1日の時間は限られているため、有料インターネット動画を長時間利用する消費者は、他のメディアの視聴に当てる時間が減少することになります。例えば、同レポートでは有料インターネット動画を視聴することによる、リアルタイムでのテレビ番組視聴への影響が明らかになっています。34歳以下では、4人に1人以上が有料インターネット動画を視聴することにより、リアルタイムでのテレビ視聴時間が減少していました。

こういった従来のメディアから有料インターネット動画視聴へのシフトが明らかになっている中、ブランドが若年層の消費者とコミュニケーションを取る方法の一つとして、有料インターネット動画サービスにおいてブランドを表現させる、プロダクトプレイスメントの活用が考えられます。この手法は、昔からテレビ番組や映画の領域で使われてきましたが、近年ではデジタル上の動画コンテンツの中でも活用され始めています。

実際、ニールセンがアメリカで調査をした結果によると、このプロダクトプレイスメント(別称、ブランド・インテグレーション)を活用することによってリアルタイムでテレビを視聴しない消費者にもリーチできることがわかりました。対象となった番組は現在Netflixで配信中の「コブラ会(COBRA KAI)」で、この番組では 4つのブランドがブランド・インテグレーションとして登場しています。なお、調査期間中、「コブラ会」視聴者のうち約10%は、リアルタイムでテレビ番組を視聴していませんでした。そのため、この4つのブランドは、仮にリアルタイムのテレビ上で広告を出稿したとしてもその10%にはリーチできず、プロダクトプレイスメントによってのみ、これらのリアルタイムでテレビを視聴しない消費者に対してリーチすることができたと言えます。例えば、番組の主人公がいつも飲んでいるビール「クアーズ(COORS BANQUET BEER)」は、番組開始から4週間で21歳以上の視聴者に対して、約1億7000万インプレッションを獲得しました(図表3)。

Chart#3_20210512

また、有料インターネット動画サービスの利用が多い若年層ほど、プロダクトプレイスメントにより購入意向が向上するという結果も明らかになっています。ニールセンのトータルオーディエンスレポートによると、49歳以下の年代において50%前後の消費者が、有料インターネット動画コンテンツの中で使われている商品に対し、購入意向を示していました(図表4)。

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今回は若年層をターゲットとした有料インターネット動画サービスでのプロダクトプレイスメントの事例を紹介しましたが、今後これらのサービスが他の年代にも広く活用されるようになった場合、他の年代にリーチするメディアとしても活用できる可能性が出てくると考えられます。このように消費者のメディア視聴スタイルの変化に応じて、常にコミュニケーションのメディアと方法をアップデートすることが重要です。また、そのコミュニケーションを取る場所が多様になっていくにつれて、それぞれのコミュニケーションの有効性を把握するには、メディアを横断的に評価する方法も必要になってきます。例えば、テレビ広告とデジタル広告を横断的に、どれだけリーチできたのかを統一指標で計測するように、有料動画サービス上での露出やゲーム上でのプロダクトプレイスメントの効果を他の広告効果と同様に統一指標で計測し、横並びに評価できるようにしていくことが重要になってきます。

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