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フードデリバリーサービス利用者の主力は女性の若年層、夕食時に利用

1 minute read | ニールセン デジタル シニアアナリスト 宗像直樹 | June 2021

食事関連サービス市場においては、COVID-19の影響を受けて自宅で飲食店の食事が楽しめるフードデリバリーサービスの利用が継続的に増加しています。実際に、PCとモバイルの重複を除いたトータルデジタルで、食事関連サービス全体に占めるサービス別の総利用回数シェアを見ると、2020年の初頭からフードデリバリーサービスのシェアが増加していました(図表1)。

フードデリバリーサービスには、自宅で飲食店の食事を楽しみたいことや、たまには料理を作る手間から解放されたいというニーズがあると推察されます。COVID-19の影響を受けている最中にこのサービスを使い始めた人がその便利さに気付いたことから、その影響が落ち着いた後においても引き続きフードデリバリーサービスの利用が増加していく可能性があります。フードデリバリーサービスの台頭により、自宅で料理を作る頻度が減少する可能性もあることから、料理を支援するレシピサービス運営企業や、スーパーマーケット、食品メーカーにとって、フードデリバリーサービスの利用動向を把握することは、今後のサービス戦略を検討するに当たり重要です。

Chart 1

フードデリバリーサービスは主に男性が、普段から料理する習慣がないことから、食事の手間を最小限にするために利用しているというような利用者像を聞くこともありますが、実際にはそのイメージとは異なっています。データを見ると、女性の若年層の利用が多くなっています。女性の若年層の利用が多いのは、女性の方が料理を作る頻度が男性よりも多く、食事関連サービスに対する感度も高いこと、さらに若年層では一人暮らしの割合が高く、日々忙しい中で時間の不足から全ての食事を自分で作ることが難しいことや、自分だけのために食事を作ることが手間であると考える人が多いことがこのサービスの利用につながっていると考えられます。フードデリバリーサービスはスマートフォンからの利用が大半を占めることから、スマートフォンアプリのリーチを性年代別に見ると、性別では、全ての年代で女性が高くなっています(図表2)。また女性に着目すると年代別では、18-34歳が最も高く、35-49歳が続いています。

Chart 2

フードデリバリーサービスの平均利用者数を見ると、日別では休日の方が多く利用されていますが、平日でも休日の8割程度の方が利用しており、時間帯では、平日・休日ともに夕食時に多くの人が利用しています(図表3)。夕食は、朝食や昼食よりも品数が多く手間を掛けた料理を準備することが多いため、料理をフードデリバリーサービスで補う、もしくは代替するためにこの時間帯に利用のピークがあると考えられます。

Chart 3

フードデリバリーサービスは、女性の若年層における利用が多くなっていました。利用するニーズとしては、17-19時台の夕食の準備をする時間に利用のピークがあることから、日々忙しい中で料理を作る手間から解放されたいことが理由のひとつとして考えられるのではないでしょうか。このようなニーズを受けて、フードデリバリーサービスに対抗するためにレシピサービスの運営企業や、スーパーマーケット、食品メーカーは、時間や手間が掛からずに作れるレシピや、料理を作る手間を減らす食材と調味料がセットになったミールキット、カット野菜の小分けパッケージなどターゲットのニーズに合った商品開発の方向性も考えられます。さらに、人々の1日あたりの食事の回数は決まっているため、例えばフードデリバリーサービスの利用が増えることでレシピサービスの利用が減少するなど、食事関連サービス全体の利用頻度に影響を与える可能性があります。そのため、例えばレシピサービスの運営企業であれば、レシピサービス内の競合のみに着目するのではなく、このような利用の増加の著しいフードデリバリーサービスを含めた食事関連サービス全体の利用状況を把握することが、今後のサービス戦略を検討するに当たり重要です。また利用状況は、時間が経つにつれて変化する可能性があるため、今後も継続的に市場全体の動向を把握していく必要があります。

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