Skip to content
02_Elements/Icons/ArrowLeft Back to Insight
Insights > Digital & technology

メディア横断でエンゲージメント指標を共通化することのメリット

1 minute read | September 2019

あらゆるマーケティング活動において、市場を理解するために、“間口”と“奥行き”で分解して”人“ベースで現状を把握し、戦略を立てていくことは、基本的かつ重要な視点です。例えば、売上に対して顧客数を”間口”、1人あたり購入金額を”奥行き”として分解し、売上アップのための改善点がどこにあるかを探る、といった考え方です。デジタルメディア業界においては、大まかに言えば“間口”がリーチ、“奥行き”が訪問回数や滞在時間などのエンゲージメント指標となるでしょう。しかしながら現状は各メディアが独自の指標を使用しており、このような基本的かつ重要な視点が横並びで比較できない状況となっています。“間口”となるリーチの共通指標が揃うことによって初めてメディアの比較検討が可能となることについては前回のメルマガで述べましたが、“奥行き”であるエンゲージメント指標においても同様のことが言えます。今回は、デジタルメディア視聴を“人”ベースで計測することによって可能となるエンゲージメント指標の共通化と、そのメリットについて考えたいと思います。

メディア横断でエンゲージメント指標を共通化することのメリット

ニールセン デジタル シニアアナリスト 山腰 知美

■サイトやアプリを訪問したターゲットにしっかりと広告内容が届くのか?

広告主がメディア選定をする際に、ターゲットにリーチするというのは重要な課題ですが、広告の目的によってはそれだけでは十分とは言えないでしょう。例えば、ブランド認知の獲得は既に目標達成しており、ターゲットに機能を理解してもらい、好意度を高めることをキャンペーン目的としていた場合、しっかりと視聴してもらえるメディアが最適な出稿先となる場合も考えられます。そのような場合、ターゲットリーチという“間口”だけでは判断が難しいでしょう。

■エンゲージメント指標の共通化でキャンペーン目的に沿ったメディア横断比較が可能に

それではエンゲージメント指標という“奥行き”がメディア横断で共通化されることによってどのようなメリットが生まれるのか、米国の事例をもとに見ていきたいと思います。

メディアBを運営している会社が、自社の強みであるターゲット層の訪問時間で大手媒体を上回っていることを示すために、サイトへの滞在時間という共通指標を他メディアと比較している米国の事例によると、18‐24歳をターゲットとしたときの各メディアのリーチだけで見ると、最も訪問者が多いメディアAが選定されてしまうでしょう。しかし、仮に広告主が若年層にタイアップ記事を読んでもらい、ブランドの理解と購入意向を高めることを目的としていた場合、ターゲットへのリーチが他メディアより小さくても、よりしっかりとコンテンツを視聴してもらえるであろうメディアBが選定される可能性は高くなります。

少し視点を変えて、訪問回数という共通指標で他メディアと比較することも可能です。別の例では、同じくメディアBを運営している会社が、ターゲット層の月間の訪問回数で他メディアを上回っていることを示しています。こちらは、広告主がターゲットの“奥行き”として、滞在時間よりも接触回数を重視する場合に有効な指標と言えるでしょう。

■最後に

リーチやエンゲージメント指標を自社で計測し、公開しているメディアも多いことと思います。しかしながら、計測が”人“ベースになっていなければ、例えば、1人の人が複数のデバイスやブラウザから同じコンテンツや広告を見た場合に、別々の人が1回ずつ見たということになってしまいます。これでは正確な1人あたりの訪問回数や滞在時間とは言えないでしょう。米国の2つの事例で見たように、独立した第三者機関がデバイス・メディア横断で“人”ベースで計測することによって、“間口”であるリーチ、“奥行き”であるエンゲージメント指標を1つのデータソースで把握することが可能となります。いずれも基本的な指標ですが、前回のメルマガでも述べた通り、メディア横断で比較可能な基本指標が揃って初めて比較検討、差別化が可能となります。認知獲得であればリーチ、好意度向上であれば訪問回数等、キャンペーンの目的によって広告主が重視する指標は変わってくるでしょう。広告主においては、このような指標がメディア横断で比較できるようになれば、目的に応じてより最適なメディア選定が可能となり、ブランドの価値をより高めていくことができるのではないかと思います。そして、メディアにおいては自社の強みを客観的な指標でアピールすることで、メディアの信頼性と価値を高め、より適正にマネタイズしていくことができるでしょう。米国ではすでにそのような計測ソリューションが活用されていますが、当社ではそれらの知見を日本でも展開できるように活動していきたいと考えています。


・本記事の内容も含んだ、メディアと広告の価値を正しく評価し、活用していく方法についてまとめたホワイトペーパーを2019年8月に発行しています。ホワイトペーパー「アドベリの先にある デジタル広告コミュニケーション」は、こちらからダウンロードできます。https://preprod.nielsen.com/jp/ja/insights/report/2019/20190809-nielsen-digital-whitepaper-awa-2019/

・2018年9月配信のメルマガ「デジタルメディアの正しい価値を示すには」では、具体的にどのようにデジタルメディアデータを計測すべきかについて、より詳しくご紹介しております。https://www.netratings.co.jp/email_magazine/2018/09/20180920.html

・2019年2月配信のメルマガ「ブランド広告主のデジタルシフトに寄り沿うメディア/パブリッシャーデータとは」では、具体的に広告主企業が求めているデジタルメディアデータについて、より詳しくご紹介しております。https://www.netratings.co.jp/email_magazine/2019/02/20190221.html

ご興味のある方はあわせてご覧ください。

Continue browsing similar insights